今回は2019年9月26日に発売された「ライザのアトリエ~常闇の女王と秘密の隠れ家」のレビュー記事(ネタバレ無し)となります。
アトリエシリーズは錬金術×RPGというジャンルのゲームで、これまで発売された作品は20作以上!
本作はそのシリーズの中でも、システムやキャラクターデザインを一新した異色の作品です。
新規ユーザーの獲得に成功したようで、売り上げもシリーズ最高記録を達成したとのこと。
特に特徴的な女性キャラクターのデザインが、発売前から話題になっていましたね(どこがとは言いません…)。
そこで本作を30時間遊んだ筆者が、このゲームの良かった点・気になった点について解説します。

結論からいえば、キャラデザ以外にもゲーム内の至る部分に新しい挑戦が見られる作品でした。
もちろん全てがうまくいっているわけではなく、システム面の粗削りな部分も存在します。
つまり、このゲームは以下のような方におすすめです。
- 新しいシステムになったアトリエシリーズが気になる方
- 女性キャラクターが可愛い作品がやりたい方
- 気軽で明るいRPG作品をお探しの方
「ライザのアトリエ」の良かった点
少年・少女たちの等身大の成長ストーリー

本作では冒険譚というより、少年少女たちの成長が描かれていて気軽に楽しむことができました。
冒頭部分は、以下のような感じです。
田舎の島暮らしの中で、変わらない毎日に嫌気が指しているライザ。
そんな彼女は島にやってきた錬金術士アンぺルと出会い、錬金術という技術を身に着けます。
冒険やいろんな人との交流で経験を積むことで、自分と日常への考え方が変わっていく…。

がっつりしたRPGではなく、ひと夏の冒険といったイメージですね。
例えば主人公のライザ(下の画像の子)は、冒頭では島民や親からの評判が高くない悪ガキとして扱われていました。

しかし人生で初めて一生懸命に取り組むことで、師のアンぺルを唸らせるほどの錬金術士へと成長。
錬金術で島民の問題を解決していくことで、持ち前の明るく人当たりの良い性格も相まって一目置かれる存在となります。
閉鎖的な大人や友人との衝突を乗り越えて、人間としての成長も描かれていました。
もちろんライザだけでなく、キャラクターのそれぞれが何らかの問題を乗り越える過程が描かれています。
発売前は影が薄かった男性陣も、本編ではしっかりと活躍していました。
ボリュームが多いとは言えませんが彼女たちがひと夏の中で成長する物語は、等身大で親しみやすいと感じましたね。
戦闘はシリーズ初の試みである「リアルタイムタクティクスバトル」

本作の戦闘システムは、シリーズ初の試みとなる「リアルタクティクスバトル」です。
一言で仕組みを説明するのは難しいのですが、簡単にまとめると以下のような感じ。
- 時間経過でキャラクターにターンが回ってくる(自分がコマンドを選択する間も時間は止まらない)
- 通常攻撃をすることで、AP(アクションポイント)がたまる
- APを使うと、スキルの発動・タクティクスレベルの上昇などが可能に
- タクティクスレベルが上がると、1度の通常攻撃でたまるAPやスキルの威力があがる

戦闘の序盤は通常攻撃でAPを貯めて、タクティクスレベルを上げてから一気に畳みかけるのが主な流れになります。
今までのアトリエシリーズにない疾走感のあるバトルは、新鮮な体験ができて楽しかったですね。
キャラクターごとの固有スキルやモーション、フェイタルドライブ(超必殺技)などもしっかり作りこまれていました。
また、仲間キャラと連携する「アクションオーダー」というシステムもあります。
仲間キャラクターから「火属性で攻撃して」などのお題が出され、それを達成することでスキルによる追撃が発生。
追撃で使うスキルがキャラによって違う点も、戦略性を高めていて良いと感じました。
小さい粗(後述)はいくつかありますが、新システムのお披露目としては悪くないと思います。
ちなみに言葉だけじゃよくわからない、という方は以下の動画をご覧になって下さい。
アイテムの効果がわかりやすくなった、新たな調合システム

アトリエシリーズの醍醐味が、素材から新たなアイテムを作り出す「調合」です。
本作はマテリアル環(上記の画像の輪っか)に素材を追加してアイテムを作成する、という今までにないシステムになっています。
投入する材料は種類ごとに分類されていて、自分でその中から選んで投入するだけなので簡単。
個人的にアイテムを作成しなくても効果が確認できたのは、シリーズ初心者でもとっつきやすく良いと感じました。

過去作では作ってみないとどんな効果を持つアイテムができるかわからなかったので、大きな改善だと言えますね。
最初は自由度が低くあまり面白みがわからないのですが、後半にいくにつれてできることがどんどん増えていきます。
アイテムに狙った効果や特性もつけようとすると、平気で1時間ぐらい飛ぶことも。
ちなみに作成したアイテムは装備することで、ずっと使い続けることができます(使用回数には制限があり、拠点で回復する)。
こだわったアイテムで敵を完封する楽しさは、このシリーズ独自の魅力の1つ。
シリーズ初心者・経験者の両方が楽しめる調合システムは、うまく進化したという印象を受けました。
「ライザのアトリエ」の気になった点
ストーリーの終盤が演出不足
本作のストーリーは先ほど紹介した通り、少年・少女たちの成長がメインとなっています。
そのため、明確な悪役がおらずRPG的な盛り上がりはあまりありません。
終盤はいろんな事実が明らかになりますが、あっさりと流されることが多かったです。

ラスボスもなんか勝てたというノリだったので、壮大な冒険は期待しない方がよさげ。
少し演出不足感が気になったので、あと1つぐらい何かの要素を足しても良かったと感じました。
戦闘システムは少し粗い
本作の「リアルタイムタクティクスバトル」では、まずタクティクスレベルを上げることを優先する必要があります。
そのため、毎回の雑魚戦であっても序盤は通常攻撃でAPをためて、スキルを使うのを我慢しなければなりません。

アイテムの使用回数も限られているので、戦闘のたびに初めは耐えなければならないのは少し面倒でしたね。
始めに毎回Aボタン連打でAPをためる構造は、慣れると退屈になってしまうと感じました。
また「タクティクスオーダー」で仲間が提案してくるオーダーも、少し問題があります。
例えば主人公キャラは強化スキルを持っていないにも関わらず「攻撃力を上げて」というオーダーが飛んでくるんですね。
つまり、このオーダーを達成するにはアイテムを使わなければなりません。
しかし新しいダンジョンではアイテムは温存が基本なので、雑魚戦ではこのオーダーは無視することが多いです。
使用回数の限られているアイテムを使う必要のあるオーダーが、戦闘中に何度も飛んでくるのはシステムがかみ合っていないと感じました。
スキルのみをオーダーの条件にするか、アイテムの使用回数制限を無くせばうまくいくと思われます。
色違いモンスターが多すぎる

本作のモンスターは使いまわしが非常に多く、どこにいっても見たことのあるキャラの姿が見られました。
雑魚戦だけでなくボスも色違いばかりだったので、新しいモンスターと戦うワクワク感はあまりなかったです(モーションもあまり変わらない)。
同じダンジョンに2種類の同じ姿のキャラがいることもあったので、もう少し魔物の種類を増やしてほしいと感じましたね。
twitterでの他のユーザーの口コミ
良かったという口コミ
合わなかったという口コミ
レビューを踏まえて、このソフトをおすすめできる人・できない人
以上を踏まえると「ライザのアトリエ」は以下のような方におすすめできます。
- 新しいアトリエシリーズが気になる方
- 女性キャラクターが可愛い作品がやりたい方
- 気軽で明るいRPG作品をお探しの方
逆に以下のような方には合わないかもしれません。
- ストーリーや冒険重視のRPGがやりたい方
- 従来のアトリエシリーズのようにアイテムをガンガン使って敵を倒したい方
「ライザのアトリエ」のレビューまとめ|気軽に楽しめる新たなアトリエシリーズ!
「ライザのアトリエ」はキャラデザばかり取り上げられることが多いですが、中身もちゃんとしたRPG作品です。
複数の新たな試みを入れることで、マンネリ化していたシリーズに大きな変化をもたらしました。
もちろんすべてがうまく嚙み合っているわけではないですが、その辺は次回作に期待といった感じ。
新規ユーザーでもしっかり楽しめるゲーム設計となっているので、難しいゲームが苦手といった方にも安心です。
キャラクターも可愛いので、少しでも気になる方は遊んでみてはいかがでしょうか?
ちなみに次回作である2のレビューもあるので、そちらもよろしければどうぞ。
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