今回は、2018年8月9日に発売された「大神 絶景版」のレビュー記事となります。
本作は狼の姿の「大神アマテラス」を操作して、和の世界を冒険する謎解き3Dアクションゲームです。
元となった2006年発売のPS2用のソフト「大神」は、実は売り上げが良くありませんでした。
しかし遊んだユーザーの高評価に押されて、今までPS2以外に計6つ(PS3・PS4・Switchなど…)の機種への移植が行われています。
その人気ぶりによって、2018年には「動物キャラクターが主役の最も評判の高いビデオゲーム」としてギネスに認定されることに。
名実ともに「名作」としてふさわしいゲームですが、今の時代のユーザーでも楽しめるか気になる方もいるのではないでしょうか?
そこで実際に25時間ほど遊んだシリーズ初見の筆者が、このゲームの良かった点・気になった点について解説します。

結論からいえば、日本らしさと独特のゲームシステムが非常にうまくかみ合った神ゲーで十分に楽しめました!
特に、日本人にはなじみ深い物語の要素を取り入れたストーリーが面白く感動的でしたね。
つまり、このゲームは以下のような方におすすめできます。
- ストーリー重視のゲームがやりたい
- 和風の雰囲気に惹かれる
- 謎解きアクションゲームが好き
「大神 絶景版」の良かった点
唯一無二の水墨画風グラフィック

本作の特徴として、水墨画風の3Dグラフィックが挙げられます。
一見取っつきにくいと感じるかもしれませんが、プレイしてみると非常に丁寧に書き込まれていて美しいと感じる場面が多かったです。

特にストーリーで何度か経験する、汚染された地域が復活して花が咲き乱れる場面がすごかった!

その他にも
- 主人公のアマテラスが歩いた場所には、花が一瞬咲く
- 花火と桜の花びらが合わさった夜景が見られる
など細かい部分に、日本らしい風流を感じることができます。

10年以上前の作品ですが、現代にも問題なく通用するレベルになっているのだから驚きです。
恐らく日本人にしか表現できない独特なグラフィックによって、心温まる世界が表現されていて良いと感じました。
日本神話や昔話がベースとなった、コミカルで感動的なストーリー

次に良かったと感じた点は、昔懐かさに加えてコミカルさと感動が混じったストーリーです。
物語の冒頭は以下のような感じ。
今から100年前、「ナカツクニ」に住む人々は大妖怪「ヤマタノオロチ」に怯えながら暮らしていました。
ヤマタノオロチには毎年若い娘を生贄に捧げる決まりがあり、その年には「イザナミ」という女性が選ばれます。
しかし彼女のことを好きだった青年「イザナギ」はその事実を受け入れられず、オロチを討伐することを決意。
少し強いだけの人間であるイザナギは苦戦を強いられますが、決戦の場に不思議な力を持つ白い狼「シラヌイ」が現れました。
協力した二人との死闘の末にオロチは討伐されましたが、戦いで受けた傷でシラヌイは命を落としてしまいます。
その後シラヌイは守り神として崇められていましたが、長い時が経つにつれその信仰は失われていきました。
そしてオロチ討伐からちょうど100年後、新たな災禍によって世界はまた闇に覆われることに。
世界を正すため現世に復活した元シラヌイこと「アマテラス」は、もう一度国を救うため旅に出ます。
日本人にはなじみ深い「ヤマタノオロチ伝説」がベースになっているのがわかりますね。
ストーリーの大筋は、人々にとって脅威となる妖怪たちとの闘いがシリアスに描かれます。
その物語に笑いや感動を良い感じに足してくれるのが、登場するキャラクターたちです。
彼らは日本神話や昔話がベースとなっているのですが、一癖も二癖もある人物ばかり。
- 主人公の相棒である、旅絵師であり剣士のイッスン
- オロチを倒した英雄イザナギの子孫であり、自称「古今無双の大剣士」スサノオ
- チャラい外人風のしゃべり方をする、謎の陰陽師ウシワカ


それぞれが個性的で面白いキャラクターたちですが、決める場所はキッチリ決めてくるから侮れません。
特に喋らない主人公「アマテラス」と多弁な「イッスン」のコンビは、どんどんかけがえのないものになっていきます。
ネタバレになるので詳しくは言いませんが、ラストの展開には思わず鳥肌が立ちましたね。
懐かしさだけでなく感動とギャグが適度に混ざっているからこそ、本作のストーリーとキャラクターは愛され続けているのだと思います。
「筆しらべ」を使った、一風変わった謎解きやバトル!
主人公アマテラスが持つ特殊能力として、「筆調べ」というものがあります。
これは画面の特定の位置に丸や線などを書き込むことで、特殊な神通力を発動できるというもの。
ゲームの進行度によって増えていき、斬撃を繰り出す・花を咲かせる・自分以外の時間を遅くするなど様々な効果の力が手に入ります。


本作ではこの筆調べを駆使して謎解きやバトルを乗り越えていくことになるため、このゲーム独自の新鮮な体験が可能です。

いろんな筆調べを試して、ギミックを解いたり敵を倒したりするのは非常に気持ちがよかったですよ!
書いたものを認識する精度はかなり高いので、目的の効果が出ないと困ったことはほとんどありませんでした。
特にswitchならタッチパネル操作が可能なので、過去作よりかなり快適に遊べると思われます。
ちなみに謎解きアクションゲームと言われると、「ゼルダの伝説」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
個人的な感想ですが、謎解きが簡単かつゼルダの伝説のように道具を持ち換える必要がないので、こちらの方が難易度は易しいと感じました。
少し脱線しましたが、バトルや謎解きなど様々な場面で活躍する「筆調べ」も本作の魅力の1つになっています。
今も色あせない名曲ぞろいのBGM
このゲームを語るうえで、BGMの良さを避けて通ることはできません。
初めてPS2版の大神が発売されたのは10年以上前ですが、今でも色あせない名曲を複数見つけることができました。

全体的に和楽器を使ったBGMになっているので、和風の音楽が好きな方ならきっとお気に入りが見つかるはず。
以下ではその代表例を紹介するので、触りだけでも聞いてみてください。
まずは本作のラスボス戦の曲である「太陽は昇る」。
直前の感動イベントからつながる、負ける気がしないラストバトルBGMとして人気です。
その人気は2021年現在でも衰えておらず、「第14回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100」でも堂々の1位を取っています。
もう1つ紹介するのは、本作のテーマソング兼ED曲である「Reset」。
平原綾香さんという方が歌われていて、優しい曲調が心にしみわたる曲になっています。
歌詞もこのゲームの内容に一致しているので、プレイ後に流れたEDは感動で忘れられないものになりました。
もちろんこの2曲以外にもたくさんのBGMがあるので、ぜひお気に入りを探してみて下さい。
「大神 絶景版」の気になった点
雑魚戦のバトルがごり押し可能なため、作業になりがち

本作のバトルは、敵の妖怪に近づくと戦闘エリアに閉じ込められて始まります。
妖怪の中には普通に攻撃が通るものもいますが、基本的に筆調べで何かしらの弱点を突かなければなりません。
宙を浮いている敵なら突風で叩き落としたり、氷をまとった敵なら炎で動きを止めたりなどなど…。
それ自体は面白いのですが、ボス戦を除き一部の筆調べ(斬撃や時間を遅くするもの)を使えば強制的にごり押しができてしまいます。

後半にいくと雑魚敵の弱点もわかりにくくなるため、実質いくつかの筆調べしか出番が無くなる状態になっていました…。
また妖怪の種類が少ない点も、雑魚戦の作業感を増長しています。
妖怪たちの弱点となっている筆調べも結構偏っているので、戦闘では出番がないものも多かったですね。
ボス戦ではいろんなギミックが用意されていたので、もう少し雑魚敵も頑張ってほしかったのが本音。
昔のゲームなので仕方がないのですが、作業になりがちな戦闘システムは少しだけ気になりました。
ラストダンジョンから出られない
本作はラストダンジョンに入ってしまうと、そのデータでは二度と外に出ることはできません。
クリアしても強くてニューゲームができるセーブデータを作れるだけで、ラスダン突入前の時間に戻ることは不可能になっています。

クリア後に各地のサブイベントを消化しようと思っていたのですが、始めからするしか選択肢が無かったのは少し困りました…。
セーブデータを分けておかなかった筆者が悪いのですが、一度入ると出られないといった注意をゲーム内でしてほしかったですね。
ラスダン内でセーブしてしまうと出られなくなる点も、個人的に残念に感じたポイントの1つです。
twitterでの他のユーザーの口コミ
良かったという口コミ
合わなかったという口コミ
レビューを踏まえて、このソフトをおすすめできる人・できない人
レビューを踏まえると、「大神 絶景版」は以下のような方におすすめです。
- ストーリー重視のゲームがやりたい
- 和風の雰囲気に惹かれる
- 謎解きアクションゲームが好き
逆に以下のような方の購入にはご注意ください。
- 昔ながらのゲームの操作性の悪さが気になる
- ゼルダの伝説に似た、本格的な謎解きを期待している
- 3D酔いが激しい
「大神 絶景版」のレビューまとめ|手軽に遊べるにも関わらず、名作と呼ばれるにふさわしい神ゲー!
「大神 絶景版」は、和の世界を冒険する謎解き3Dアクションゲームです。
感動的なストーリーやBGM、謎解きや独自のシステム「筆調べ」など魅力的な要素が盛りだくさん。
元は10年以上前のソフトですが、今なお幅広いユーザーから支持を受けています。
値段もお手頃になっているので、ぜひ色あせない名作を遊んでみて下さいね。
コメント